電動昇降デスクをDIYで自作した

  • より大きい、複数の高さにできるデスクが欲しくなり、電動昇降デスクの購入を決意しました
  • 天板を注文し、DIYしました
  • 満足行くものになり、快適に使っています

【目次】

1. 経緯

概要は以下のとおりです。

  • 賃貸住宅である
  • 最近引っ越したことで、スペースに余裕が生まれた
  • 在宅勤務になり、デスクの高さが高く肩が痛みだした
  • デスク上のスペースが狭い
  • 音ゲーのアーケードコントローラーに丁度いい高さのスペースがほしい
  • 普段DIYはしないので何も道具がない

1.1. 現状の暮らし

もともと都内の賃貸住宅に住んでおり、そこに入居するタイミングで買ったデスクで生活しておりました。

www.nitori-net.jp

こちらのデスクでしばらく問題なかったのですが、リモートワークに変更になって同じデスクで仕事もするようになり、キーボードを打つ時間が増えたことで、キーボードの高さがかなり高いなと感じるようになりました。

椅子の方を調整すればいいのですが、私は背が高くないので、キーボードが丁度いい高さになるように椅子を上げると、足がしっかりとつかなくなってしまい、落ち着きません。 であれば、机の方に下がってきていただくしかありません。

また、普段はデスクトップPCで過ごしており、仕事で利用するMacはマウスパッドの位置に置いてトラックパッドのみ利用していました。排熱のもんだいから、マウスパッドの上にノートPCスタンドを入れて、角度をつけて利用していましたが、これを利用するようになってから更に肩の痛みが顕著になりました。

1.2. 引っ越し

色々なタイミングや思惑があり、自分の外出目的の多くが集まる秋葉原により近い場所に引っ越すことにしました。

今までは、こたつとデスクとベッドで埋まってしまう感じの家でしたが、引越し先がこれまでよりもスペースがあるところになったので、なにか作業できそうです。

1.3. 趣味

趣味として、少しガジェットを買い込んでいます。 例えば、今デスク上に、以下3つのマウス&トラックボールがあります。

以下キーボード(系)デバイスもあります。

どれもそこそこ使っているのですが、これらの他にもiPadを置いたり紙のノートを置いたりすると、デスク上が埋まってしまいます。 そのため、より広いデスクがほしいと感じるようになりました。

1.4. その他インプット

新しいデスクについて検討していたところ、noteの以下マガジンを読みました。

note.com

多くの方が自分の目的に合ったデスクを作成していました。

また、友人や同僚から電動昇降デスクについて聞く機会があり、電動昇降デスクならば諸々を解決できそうと思うようになりました。

2. 目的

およそ以下のような目的でデスクを探すことになりました。

  • 肩が痛くならないよう、高さの低いデスクがほしい
  • リズムゲームのACコントローラを置くときに、「正しい高さ」にできるデスクがほしい
  • 上記2点を両立させるため、電動昇降デスクを導入したい
  • より広いデスクにしたい

3. 構成検討

3.1. デスク本体検討

前述の条件で、まずは既製品を探していきました。

「電動昇降デスク」で最初にヒットしたのは、FLEXISPOTの製品でした。

天板とのセットの販売と、脚のみの販売があります。天板は、160cm x 70cmまであります。 前述のnoteでも購入している方は多く、購入の第一候補となりました。 広いデスクにしたいので、180cm x 80cm程度のものはないか、更に検索を続けていきました。

……が、幅を180cmにした途端、選択肢が減り、値段が跳ね上がってしまいました。 いくつか探しましたが、あまり値段感と釣り合う製品を見つける事ができませんでした。

その他、調査中にIKEAから180cm x 80cm天板の昇降デスクが発売されました。

www.ikea.com

実物を確認できていませんが、画像を確認する限り、残念ながら最低高さが72cmとのことで、要件を満たさないことがわかりました。もう少し下がっていたら、こちらを買っていたかもしれません。

これらから180cm x 80cmの天板のデスクを用意するため、noteを書かれている方々と同様に、Flexispot E7の脚に、マルトクショップで購入した天板を利用することにしました。

3.2. 引っ越しを見越した検討

今の住居に引っ越したばかりではありますが、またこの家から引っ越すこともあるでしょう。 それを考えたとき、このデスクは解体可能である必要があります。

noteではほとんど言及がありませんでしたが、天板側に鬼目ナットを埋め込むことで解体可能にしておくことができるようです。

3.3. ケーブリングの検討

主にディスプレイの電源や、キーボード等の配線のため、ケーブルトレイが必要です。 金網製のものを検討していましたが、以下のメッシュ生地でマジックテープで留められるものが良さそうだったので、これを利用しました。

item.rakuten.co.jp

ERDシリーズ専用とありますが、ネジの穴さえあれば普通のデスクでも利用できます。そのためかはわかりませんが、基本的に売り切れていることが多いです。

また、比較的入手しやすい「汎用タイプ」があるのですが、クランプで固定するタイプで、天板側が散らかってしまうので今回は選択しませんでした。

次に、ケーブルを束ねる方法ですが、前掲のnoteの中でも紹介されているような、編組チューブを使うことにしました。

この製品以外にも、プラスチック系のものや、取り付けが簡単であることを謳っているものなどありましたが、中身のケーブルがきれいに隠れて、ケーブル本数の変化にもある程度柔軟な編組のものを買いました。

ポイントでケーブルを束ねるのには、以下を使うことにしました。

これは、経験的な選定で、ゲーム機をラックに収納する際にこちらを利用してかなり便利だったというのがあります。 ケーブルタイとは違い、つけ外しが容易です。マジックテープ部分も痛くないタイプのもので、イライラしません。 また、強度も十分で、今まで外れたことはありません。

この他、Flexispotのケーブルダクトを利用することにしました。

3.4. テーブル塗装の検討

前掲のnoteでは、オイル塗装を行っていました。 この塗装は、木の質感などはとても活きるのですが、一方で耐久性はあまり高くありません。

マグカップ等を置く可能性を考えると、結露に耐えるための耐水性と、熱い飲み物を心置きなく置ける耐熱性が必要です。 あわよくば、食事ができるくらいであると嬉しいです。 このあたりを根拠に色々探していたところ、以下のものが良さそうでした。

3.5. デスク周りの検討

ディスプレイが3枚(内1枚は液タブ)ありますので、これをうまく配置するために、ディスプレイアームが必要です。自分の好みで絞り込み、レビューを見つつ、エルゴトロンのディスプレイアームを使うことにしました。

また、テーブルの上によく使うものを置きっぱなしにしがちなので、しまえるように引き出しも導入する方向で検討しました。。

4. 注文

4.1. 天板

以下の構成で天板を注文しました。

タモ 集成材フリーカット
30 * 800 * 1800mm
◆ 面[A]:上R面(5R)+ 下糸面 + 磨き
◆ 面[B]:上R面(5R)+ 下糸面 + 磨き
◆ 面[C]:上R面(5R)+ 下糸面 + 磨き
◆ 面[D]:上R面(5R)+ 下糸面 + 磨き
◆ 反り止め:無し
◆ ジャストカットの有無:有り
◆ 四角形穴[1] 貫通 x1:500mm,x2:1300mm,y1:0mm,y2:30mm 角突き:無し
四方向使用

4.2. 昇降脚

4.3. その他

全部は書きませんが、その他のものはほとんどAmazon楽天で注文しました。 購入時に気をつけたほうが良いものだけ書いておきます。

天板

公式サイトに記載がありますが、これが一番到着に時間がかかりますので、早めに注文しましょう。 私は正式注文から到着まで3週間ぐらいかかりました。

ケーブルトレ

品薄のため、公式ショップより高く売っているショップが多いです。購入するショップに注意が必要です。

鬼目ナット

店頭だとラインナップの限界があるので、ネットで購入しましょう……と言いたいところですが、ネットでも注意が必要です。

安い価格で掲載しておき、高い送料を要求する業者や、プライム配送しか受け付けず高い送料が設定してある業者などがありました。

5. 制作・配置・配線

結局1週間かかりました。

5.1. 到着→研磨(月曜日)

天板が到着し、作業が進められるようになりました。

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240番のペーパーで研磨し、更に400番のペーパーで磨きます。届いた時点で研磨する必要ないんじゃないかという感じの手触りでしたが、400までかけると更にツルツルになります。

5.2. 塗装(火・水曜日)

研磨が終わったので塗装です。裏面から塗っていきます。つや消しクリアを塗りましたが結構色が変わります。

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塗料は600mlのものを購入したところ、原液500ml + 硬化剤50ml * 2という構成だったので、硬化剤のほうにメモリを入れ、必要な分だけ使っていきました。原液50mlにつき硬化剤1メモリとなります。

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具体的な量(原液基準)の配分と時間間隔は以下のとおりです。

  • 裏面(100ml)
  • 2時間後、表面と側面(150ml)
  • 翌日、サンドペーパーの400番で全面を研磨
  • 研磨後、2回目の裏面(50ml)
  • 2時間後、2回目の表面と側面(100ml)
  • 2時間後、3回目の表面と側面(100ml)

5.3. 組み立て、鬼目ナットの埋め込み(木・金曜日)

鬼目ナットを埋め込む位置を決めるための作業になります。 脚や引き出しなど、天板に取り付けるものを組み立て、位置合わせをしていきます。 位置を合わせたら、芯ホルダー(鉛筆)でネジ穴に合わせて印をつけていきます。

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印をつける途中でずれると困るので、ところどころ養生テープで位置をあわせています。

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この印をつけた位置にドリルで穴をあけ、鬼目ナットを埋め込んでいきました。

ドリルは、先端の位置がわかりにくく、直接ドリルを置くと目的の位置からずれます。 キリか、木ネジなどを使って、先端を刺す箇所を予め決めておくと簡単でした。 また、ドリルの垂直を取るのは、道具は使わず目見当でしたが、最終的に特に問題なくネジ締めができました。

鬼目ナットを事前に端材で練習したのですが、練習よりかなり困難でした。 練習に利用した木材は、2x4の木材で、これに比べてタモがかなり硬い木材でした。 硬すぎて、鬼目ナットを回す6角部分が破損したほどです。そのため、少しねじ込んでは戻し、ねじ込んでは戻しを繰り返して、緩めつつ埋めるようにしてなんとかはめることができました。

天板とのネジ止め、配置、配線(土・日曜日)

鬼目ナットを埋め込んだ箇所に脚や引き出しなどを合わせ、ボルトで留めていきます。 Flexispotの脚のネジ穴部分には、ゴム製のワッシャーというかスペーサーとガイドが一体になったようなものがついています。 この部分はかなり厚みがあるので、これを考慮して長めのボルトを選択します。

今回は鬼目ナットがM5 * 20mmのDタイプを使いました。これに対して、ボルトは25mmのものを選び、問題なくはめる事ができました。

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このネジ止め後のものをひっくり返すのもなかなか大変です。テコの原理で転がすようにしてひっくり返せば、なんとか1人でもひっくり返せます。腰を傷めないように注意が必要です。

ディスプレイアームを取り付け、ここに配線して行きます。

エルゴトロンのディスプレイアームは、前腕の裏に小さなフックがあり、そこにケーブルタイで止める構造になっているのですが、つけ外しがしにくいので、直接マジックテープで巻いていきました。

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ディスプレイアームにつけたディスプレイに対して、アームに添わせて配線すると、結構な長さのケーブルが必要になります。更に昇降する分の余裕をもたせると、3mくらいはあったほうがよいでしょう。

6. 完成

完成したものがこちらになります。

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写真には写っていませんが、この左側にかなりスペースがあります。これでものを書くことができそうです。

また、テーブルの高さを下げ、キーボードを奥に置くことで腕までデスクに乗るようになりました。これで肩の痛みが改善されることを願いします。

Appendix

App. 1. あって便利だったもの

作業過程であって便利だったものを紹介します。

端材

近所のホームセンターで、30cmくらいの長さの2x4材を2本買いました。

目的は2つで、①塗装時に板の下に入れて高さを出すこと、②ドリルと鬼目ナットを初めて利用するのでこの練習ができることです。

①塗装時に板の下に入れて高さを出すについては、木材の上からやや大きめに切ったダンボールをクッション材として貼り、更に万が一にもダンボールが張り付いてしまうと困るので養生テープで巻きました。

②ドリルと鬼目ナットの練習については、ただそのまま試しただけです。

塗料トレー、コテバケ

ペイントローラーに使うようなトレーを買い、ここに塗料を入れてコテバケで塗りました。 コテバケは、広い面積をいっぺんに塗る場合に向いているとのことで、買っておきました。

実際使ってみると、とんでもなく簡単に、広い面積に塗ることができました。 結局側面もコテバケで塗れてしまったので、普通の刷毛を購入したものの、使わずじまいでした。

キムワイプ

紙ウエスの役割で買いました。 研磨したあとの粉や塗料を塗ったときにはみ出した部分を拭くのに便利でした。

ただし、研磨した粉は粒子が細かすぎるのか、繊維を貫通してきます。かなり手に付きました。

紙やすりをマジックテープでつけるスポンジ

文字通りの役割のものをホームセンターで買いました。 少なくとも当て木は絶対に買ったほうが良いとのことだったので、同様の役割のものになります。

こちらは、スポンジと同サイズの紙やすり数枚セットが売られていたので、まとめて買うことで何も考えず簡単に利用できました。

ハンディー掃除機

研磨した粉を全部これで吸い込みました。ハンディーで取り回しがよく、あまり吸引力がなくても粉は吸えるので、ベストでした。 「フィルター部分にティッシュを挟んでおくとよい」と見かけたので、それを実践しておきました。

マスク

これは別に買ったわけではありませんが、研磨するときはマスクをしたほうがいいです。

ダンボー

引っ越しをしたときのダンボールを保管しておきました。作業スペースの床や、近くの電子機器の周りにおいたりしました。

ブルーシート

研磨やドリルで汚れるだろうと踏んで買っておきました。ダンボールを敷いた上から養生テープで貼っていくような形で利用しました。

芯ホルダー

主にドリル穴の罫書きと、ドリル穴の深さを図るのに利用しました。

罫書きは本来の用途ですが、ドリル穴の深さについては、定規等を入れることができないので、芯ホルダーの芯を必要な長さだけ出して、それが十分埋まるかどうかを見ていました。

App. 2. 買ったけど使わなかったもの・やらなくてよかったこと

買ったものの中に使わなかったものがあったので載せておきます。

ふつうの刷毛

ズボラなので、コテバケで全部塗ってしまいました。それでも大きな失敗はしていません。

ケーブルダクト穴は不要だった

ケーブルをなるべくまとめて、更にディスプレイアームのあたりから垂らすようにしたため、ケーブルダクトを彫った箇所からケーブルをほとんど垂らしませんでした。 昇降させる都合、壁からテーブルを離しているので、その隙間にテーブルを垂らしている感じです。

おわりに

全体的に満足のいくものになりました。まだ拡張の余地もありそうです。 次は音響関連をより良くしていきたいという気持ちがあります。